悪夢十夜~獏印百味魘夢丸~ (302)

第四夜〇遠足 ヒトデナシのいる風景 その百八十七

「 道理(どうり)で『おまえのヒトデナシ』は‥ よく働くわけだ‥‥ 」

そんなヤツの皮肉交(ま)じりの言葉に、先ほど見せられた『巨大迷路廃墟の外壁(そとかべ)にずらりと連なっていた、腹を裂かれて逆さまに吊るされた数々の死体』の映像が、ぼくの脳裏に甦(よみがえ)った。
嫌な予感がした。
一体どこまでが『ヤツのヒトデナシ』の仕業(しわざ)で、どこからが『ぼくのヒトデナシ』の仕業なのか、今すぐはっきりとさせたかった。
「 おっ おまえの言う‥ 『ぼくのヒトデナシ』が よく働く とはつまり‥‥‥ 」 ぼくは矢も楯(たて)もたまらず、その答えを求めてヤツを促(うなが)していた。
「 外壁に吊るされた百二十一人の犠牲者のうち‥‥、『ぼくのヒトデナシ』が手を下したのはそのうちの 何人なんだ? 」きっぱりとそう口にして、ヤツを見つめた。

そんなぼくの前のめりの態度に、ヤツも真面目な顔になって、真っ直ぐこちらを見つめ返してきた‥‥‥‥‥‥

「 ふん! さっき説明したばかりだろうが‥ 」 ヤツの声が不満げに、ぼくの耳に響いた。 「 外壁に吊るされた者達の中で『オレのヒトデナシ』が排除したのは、教頭先生、送迎バスの運転手、パトロールにやって来た警察官二名で、いずれもこの遠足の継続を危(あや)うくする存在だった。その四人、それだけだ 」

「 そっ、それだけだって?!! 」 ぼくは驚愕(きょうがく)した。

「 ああ、つまり‥ 百二十一人から四を引いた百十七が、『おまえのヒトデナシ』が手を下した人数だ 」
ヤツは、何の特別な思い入れも示さずに、ただ淡々と、そう答えた。

次回へ続く

シルバーウイーク に‥‥

いつの間にやら『シルバーウイーク』という名称が口先に上るようになり、今年は立派な連休となりました。『シルバー』の語源は、敬老の日が絡んでいるからだろうと勝手に解釈していましたが、どうも違うみたいです。最初が『金』なら次は『銀』てなことでしょうか‥‥
その連休ですが、折しも台風25号の接近で、あいにくの天気となってしまいました。

ところで、天気予報での用語でも、近年登場して頻繁に使用されることとなったものがあって、それが同じ地域に長時間の降雨をもたらす『線状降水帯』でした。今では豪雨災害の原因として警戒される気象現象です。
さらに今年ですが、私の記憶にしっかりと刻まれてしまった用語が『アンダーパス』で、これも記録的な降雨と無関係な言葉ではありませんでした。
雨がただならぬ状況で降り続いただけで起こってしまった浸水や氾濫などの災害。その報道の数々を目にして、『温暖化』もいよいよ後戻りのできないところまで来てしまったのかと、不安を感じる毎日です。

社会における文化や慣習などが、その時代の高い位の人々から、やがては下々の人々へと伝播し広がっていくものだ‥という例えに、『水は高いところから 低いところへ流れて行く』と‥『水』を使った言い回しがあったように思います。
最近は、ニュースで雨水による浸水や氾濫の映像が流れる度にこの言い回しが脳裏をかすめ、雨がたくさん降る時には「このことを肝に銘じて行動しよう‥」と自分に言い聞かせています。