第三夜〇流星群の夜 編集後記
僕は満更(まんざら)でもない気持ちに包まれていた。
そして‥‥隣に寄り添っている彼女の存在をあらためて確認した後、完全に時間を止めるべく、ゆっくりと静かに目を閉じた。
やがて、眠りにも似た静寂が僕の意識に訪れようとした束(つか)の間のまどろみに‥‥、儚(はかな)い打ち上げ花火の最後の一発の様な光景がスッと忍び込んできた。
星が流れる。流れていく。
いくつも、いくつも、いくつも。青紫色の尾を引いて、夜空一面に流星が降りそそぐ。
僕と彼女は丘の上にいて、寄り添ってそれを見上げている。
こんな見事な流星群は生まれて初めて見た。彼女を誘った甲斐(かい)があった。
流星はみんな人間の形をしていて、燃え尽きる事なく地上に突き刺さっていった。
「見て!お父さんとお母さん!」頭上を横切る流星の一つを指差して彼女が叫んだ。
「こんな時まで、二人仲良く手を繋(つな)いでる‥‥」彼女は呆れた様に笑った。
「ほんとだ‥」僕もつられて笑った。
そんなひと時の余韻を味わいながら‥‥‥‥僕の時間は止まった‥‥・
完
以上は、書き忘れた要素を盛り込んで書き直した、最終話の途中から続く新しいエンディングです。
『流星群の夜』は、原案にこのイメージがあったからこそ付けたタイトルだったわけです。
前回分に手を加え書きかえてしまうより、ここで新たにお目にかけた方が良いかと考えました。
『流星群の夜』は本来、もっと幻想的で夢らしいお話の案でした。
時を経て今回読み物にするにあたって、否応(いやおう)なく盛り込む事になってしまったのは、お分かりかと思いますが、東日本大震災と新型コロナウイルス渦での経験でした。
書き始めた当初は十回ほどで終わると思っていたものが、結局その倍以上の長さになってしまいました。SF的な色彩が随分出てしまったし、振りや伏線で回収処理できなかった部分も多々ありましたが、そのあたりはご容赦ください。
ご愛読いいただいてありがとうございました。
次の『第四夜』ですが、『遠足 ヒトデナシのいる風景』を予定しています。今までで一番ホラー色の強いお話になると思いますが、よろしかったらまたお付き合い下さい。
火曜日の更新を楽しみに毎回読ませていただきました。今回が最終…本当に残念です。
新しい作品も楽しみにしています。
週一度の楽しみを与えてくれた作品に感謝しています。
本当にありがとうございました、
お疲れさまでした。
これからもこちらにお邪魔させていただきます。
ドキドキワクワクな作品を末長く…
頑張って下さい。
ありがとうございます。
書き手として、書いた作品が本当に完結する瞬間は、誰かに読んでいただいた時なのかも知れません。コメントを拝読して、そんな事を考えてしまいました。
ご期待に添えるかどうかは分かりませんが、次のお話もお付き合いいただければ幸いです。