第四夜〇遠足 ヒトデナシのいる風景 その百八十三
ぼくの頭の中へ送られてきた、巨大迷路廃墟をぐるりと連なって取り囲む外壁(そとかべ)の異様な映像。
そこにまるで狩猟の成果でもあるかのように、腹を切り裂かれた上で逆さまに吊るされている犠牲者の総数は、今現在の時点で百二十一人であると‥ヤツは言った。
ぼくはたまらず問い質す。「 ‥これをやってのけたのは‥‥ 『おまえのヒトデナシ』なのか? それとも‥『ぼくのヒトデナシ』の仕業(しわざ)なのか?‥‥ 」と‥‥
「 ククッ いい質問だ 」 ヤツは笑った。 「 ここでお互いの『ヒトデナシ』の立場を明確にしておくことは、何にしても必要だろうさ‥ 何よりもおまえ自身の『自覚』の為にもな‥‥‥ 」
そう言って、ヤツは語り始めた。
「 そもそも‥『この遠足』では、 おまえ自身の描いたシナリオに沿って全ての物事が進行し、最終的にこの世界を拵(こしら)えるに至った原因の歪(ひず)みを修正し、さらにはこの世界をすっかり終わらせることが目的なのだ。今、おまえがはっきりとそれを自覚できていなくても、その目的はおまえ自身がずっと望んでいたことなんだ。分かるか? 」
「 ‥‥‥‥分かって‥いる、ような気がする‥‥ 」 それがぼくの、正直な答えだった。
「 ふん、まあそう言うしかないんだろう‥‥。しかし、おまえは気づいていないようだが‥ おまえを悩ませていた『例の頭痛』は、いつからおまえを悩ませなくなったんだ? 覚えていたなら、ぜひとも聞かせてくれ! 」
「 えっ!? 」 ぼくは思わず驚きの声を上げていた。
まるで不意打ちのごときヤツのその指摘は、ぼくを一瞬のうちにフリーズさせてしまった。
次回へ続く