第三話「秘密基地」 その六
夜、寝床についても頭が冴えてなかなか寝つけない時、子供の頃の私は「宇宙」について考える事がよくありました。
地球と月、太陽、太陽系の星々そして銀河・・・
宇宙の誕生やその大きさに思いをはせていくと、自分がいかに矮小で無力な存在であるかを感じ、急に気が遠くなり今横たわっている布団の感触が消え失せて、何もない広大で底なしの空間にゆっくりと落ちていくような感覚にとらわれました。
日曜日私は友人達と「基地」を探し半日かけて歩き回り、結局見つけられずに帰ってきました。
私はうそつき呼ばわりされ、その日以来U君はしばらく口をきいてくれず、Yちゃんもよそよそしい態度で接するようになりました。
二人には申し訳ないと思いましたが自分は嘘をついていません。ただただ悲しく辛い日々が続きました。
問題は「なぜたどり着けなかったのか?」です。
私は何度も自問自答しました。
場所は間違いない?
あそこで間違いない!
間違っていない・・・・・多分・・・
考えが空回りし始めると、途方もない方向に答えを求めようとしている自分がいます。
「基地」は従弟のお兄さんたちと自分だけの「秘密基地」であって、発見できなかったのは秘密を洩らした私への罰だったのだ。林の中に踏み込んだ私たちを「基地」が感知して地中深くに消え失せたのだ・・とか、基地を作った体験などもともと存在しない私の「妄想」だったのではないか・・とか・・・・・
この感覚はまるで「宇宙」について考えすぎた時のそれと似ていました。
初秋、学校から帰りむしゃくしゃしていた私は気晴らしのつもりで自転車にまたがりフラフラと出かけて行ったのです。
次回へ続く