リアリティー回想記 「わたしたちの町」

ダリオ・アルジェントというイタリアの映画監督がいらっしゃいます。代表作は、今年リメイク版が公開予定の「サスペリア」。ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」をプロデュースした事でも知られています。

1977年「サスペリア」のヒットを受けて、翌年日本では「サスペリアPART2」が公開されました。実は「サスペリアPART2」は1975年に制作された「サスペリア」より古い作品で、二つの作品には関連性は無く(「サスペリア」には三部作と呼べる「インフェルノ」「サスペリア・テルザ最後の魔女」が存在する)、日本独自のプロモートの結果「サスペリアPART2」と題された様です。

前置きが長くなりましたが、この「サスペリアPART2」がダリオ・アルジェント監督の最高傑作と私が今も信じて止まない作品なのです。

作品自体は、巧妙な伏線と謎に満ちたオカルト要素の全く存在しない犯人探しの推理劇です。しかし怖い。まぁ怖い。殺人シーンの巧みな演出、謎が一つ一つ氷解していって遂に犯人が知れるワンショットの驚愕。
映画評論、脚本家の経歴を持つ監督ならではの緻密な計算でしょう。

私の特にお気に入りのシーン。回想で、子供の歌声を奏でるレコード、子供の足、手にする包丁。何かを塗り込めた壁。一部を壊し現れる子供の稚拙な絵、主人公がその場を立ち去った後、更なる部分が崩れ落ち・・・。

子供の感受性、子供の絵の独特の存在感が本題「わたしたちの町」を描くモチーフとなりました。
子供の視点、認識が大人の意図したものからどんどん乖離していく様を描いてみようと思ったのです。
勿論ダリオ・アルジェント監督へのオマージュでもあります。

次回は「塊(かたまり)」です。

「リアリティー回想記 「わたしたちの町」」への2件のフィードバック

  1. こんにちは、N太郎です。
    サスペリアPART2ですね。数十年前に1回見た限りですが
    いい作品でしたね。古い屋敷の壁に描かれてある子供の絵、
    コートを着た殺人鬼、肉切り包丁、浴室の蛇口から出る
    熱い湯と湯煙、ラストの鏡に映った不気味な絵と犯人の最後、
    主人公の名前は覚えてないのに友人の名がカルロというのは
    何故か覚えています。まあこの友人の過去が鍵になっているの
    でしたね。
    アルジェント監督の作品は好きなのですが謎のシーン、不明な
    シーンも多少ありました。
    「サスペリア」冒頭の女生徒を殺害した毛むくじゃらの男は何者?
    もう一つ盲目の男がいきなり自分の盲導犬にかみ殺される。
    「インフェルノ」足の不自由な男が浅瀬の川でネズミの大群に
    襲われ、さらに近くの飲食店で調理していた男に肉切り包丁で
    とどめを刺されるというシーンです。
    魔女の魔力が人や動物を操ったのでしょうか?
    網野先生の見解は如何でしょうか。
    さて「わたしたちの町」ですがおっしゃる通り子供というのは独特の
    視点、感性をもっていてそれで社会現象、事象、暗部などを彼らなりに
    感じているのですね。そういうのを捉えた不気味でいい作品でした。
    それでは次の更新を楽しみにしています。

    1. アルジェントの映画を良くご存じのようで、書いたかいがありました。
      これからも色々な映画へのコメントも織り交ぜていきたいと思います。

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