創作雑記 (2)

日々刻々と拡大していく新型コロナウイルス感染の報道を鬱々(うつうつ)としながら眺め、生活の中の様々に気を遣う事を繰り返していくうちに、いつの間にか心の何処かしらが擦り減っていっているのを感じています。

こんな時に、拙い読み物を誰が欲するものかと考えてしまい、「悪夢十夜」をお休みにして「創作雑記」でお茶を濁させて頂きます。

さて、次のキャラクター‥‥彼女は何者でしょう?

自分でもすっかり忘れていたイメージ画です。いつ頃何のために描いたのか、今も思い出せません。タイトルも分かりません。
ただ、設定の走り書きを見ると、彼女の名前は「リン」、戦士のようです。仲間に大きな男と少女の二人のアンドロイドがいて、彼女をサポートするみたいです。

何と戦うのかは不明。しかし戦士は、「各時代でアンドロイドがスカウトした生身の人間でなければならない」と書いてあります。その他の事は何を書いているのか解読不能でした。


「巨人真伝トキ」以来、あまりキャラクター性の高い漫画は描いてこなかったので、チャレンジしようとしたのでしょうか?
それともただ単純に、映画「エイリアン」シリーズのリプリー(シガーニー・ウィーバー)や、「トゥームレイダー」のララ・クロフト(アンジェリーナ・ジョリー)のような強い女戦士が描きたかっただけなのかもしれません‥‥‥‥。

 

悪夢十夜~獏印百味魘夢丸~ (20)

第一夜〇タイムカプセルの夜 その五
穴の底‥‥‥ライトで照らし出された謎の建物は、ところどころ土は被っているものの、地上にある校舎の生徒専用エントランスとまったくと言っていいほど同じ造りをしていた。
俺たち全員は‥‥‥むろん訳のわからぬ言葉を残して闇に溶けて消えた島本以外の全員だが、足場の悪い場所からやや遠巻きにそれを眺めていた。

「ねえ、山崎くん木村くん‥‥ライトを消してみてくれないかな?」委員長が建物に目を向けたまま、二人に声をかけた。
カチリ、カチャッ‥
山崎と木村は委員長に理由を尋ねる事もなく、まるで彼女の僕(しもべ)であるかのように何の躊躇もなく指図に従った。

十数秒経って‥‥暗闇にみんなの目が慣れてきた時、初めて委員長の意図が理解できた。
固く閉ざされた入口の二枚連なる大き目のトビラ、押し引きして開くタイプのものだが、そこに嵌まっている厚いガラスは、被っていた土で薄汚れていた。透明度は低くなっていたものの、建物内の恐らくは奥まったところから発せられている光が届き、トビラのガラスをぼんやりと明るく闇に浮かび上がらせていたのだ。
建物の中には、明かりが点いていた‥‥‥‥

「‥‥廃墟じゃぁ‥‥‥ないのか?」山崎が呟いた。
「何よ?」「中に誰かいるわけ??」高橋 山本コンビが騒ぎ出した。

木村が動いた。トビラに近づき、取っ手に手を掛け揺り動かしてみる。パラパラと土が落ちた。
今度はその大きな体をトビラに預け、足を踏ん張った。
ジャリリ‥・
土を噛む音がして、ほんの数センチ。トビラが中に入った。
「鍵は‥かかってないぜ‥‥」

小川の出番である。どこから持ち出して来たのか庭ぼうきを手に、天井部分とトビラ、トビラと床の隙間に固まっていた土を砕いて掻き出し始めた。
トビラはさらに中に動き、人ひとりが通れる隙間が確保できた。

みんなが俺を見た。
「‥・え?」俺はみんなを見返した。
山崎が言う。「こいつは俺のタイムカプセルじゃない‥」
「俺のとも違う」と、木村。
小川も、同じだと言うようにコクリと頷いた。
高橋と山本に目を向けると、ふたり揃って首を小刻みに横に振った。
「だったらやっぱり、あんたのよ。さっさと中に入って確かめなさいよ」部外者のゆかりが、呆れた様子で言った。

「違う!俺のでもない!俺は埋めてないんだ‼」

断じて埋めてない‥‥俺は‥‥‥‥‥
実はこの時、俺は自分自身を疑い始めていた。覚えていないのは、忘れてしまっただけではないのかと‥‥‥‥。
委員長は、この俺の心の揺らぎを見逃さなかった。
「確かめてみれば分かることよ。私もオブザーバーとして一緒に入るから」

いつの間にか俺は容疑者になり、裁かれようとしていた。
いったい何の罪で?‥‥‥‥‥‥