リアリティー回想記 番外編

今回お目にかけるのは、単行本「リアリティー」に収録されなかったシリーズ連載「リアリティー’88」の中の2作品それぞれの冒頭4Pです。
当時、シリーズ連載は冒頭の4Pが2色刷りと決まっており、締め切り前に先に彩色し入稿したものです。
現在の雑誌ではほとんどお目にかかれない2色刷りなのであえて雑誌掲載時のままアップしてみます。

 

 

 

シリーズ連載第八話 「橋」より

 

 

 

 

シリーズ連載第五話「陽炎の女」より

単行本に収録された作品はゲラ刷りを捨ててしまいましたが、この2作は収録されなかったため残してありました。生原稿では味わえないタイトルロゴやキャッチ、掲載雑誌の通しページなどもそのままお楽しみください。

2作品はいずれ全編お目にかける機会があるかと思います。ご期待ください。

シン・ゴジラについて書いてみたくなりました

ご覧いただいた絵は昨年、映画「シン・ゴジラ」を観て興奮冷めやらぬままペンタブレットで描いてしまったものです。
タイトルは「鎌倉上陸」。

先週地上波初放送された記念に、今回は「シン・ゴジラ」について書いてみます。

私たちの世代は怪獣ブームの中で育ちました。幼い頃から怪獣映画がやって来る度に町のあちこちに張り出されるポスターに胸を躍らせ、テレビでは本放送はもちろん再放送も一話たりとも見逃さないほどの執着ぶりでした。
ゴジラシリーズはまさに中核で、ほとんどの作品を映画館で観た覚えがあります。

ただ幼い頃はそれで良かったのですが、成長し様々な価値観が芽生えるに至って、ゴジラが回を重ねるごとに正義の味方となり、フォルムもどんどんと劣化していく事に気づき熱が冷めていきました。

第二期といわれるシリーズ第16作「ゴジラ」(1984年)が封切られた時大人になっていた私は、リスタートされるはずの新作に大いに期待を寄せ映画館に足を運びました。しかし正直満足のいく作品ではなく、おそらくゴジラ好きの作り手の方々が思い入れし過ぎてかえって皆で駄目にしてしまったという印象です。
17作、18作目は私の好きな大森一樹監督作品だったのでやはり足を運び、それなりの満足でその後もシリーズを観続けました。

時代は平成に移り、ここで怪獣映画界に一陣の風が吹きます。「平成ガメラ三部作」の登場です。目からうろこが落ちました。私が幼いころから求めてきた怪獣映画がそこにありました。
監督は金子修介氏、特撮は樋口真嗣氏です。
ご存知の通り樋口真嗣氏は「シン・ゴジラ」の監督でもあります。

日本のゴジラシリーズは2004年「ゴジラ FAINAL WARS」で一応の収束をみて、いよいよ2016年がやってくるのです。
その4年前2012年庵野秀明氏が館長をつとめた特撮博物館で上映された短編映画「巨神兵東京に現わる」は脚本を庵野氏、監督は樋口氏。お二方はおそらく怪獣映画で育った同年代です。
庵野氏の代表作「新世紀エヴァンゲリオン」だけではなく、私はここに「シン・ゴジラ」の予兆をみました。

長くなりましたが
「シン・ゴジラ」を映画館で観終わって席を立つとき、思わず「生きてて良かった」という言葉が口から出てしまいました。
これが私の「シン・ゴジラ」の感想のすべてです。