「土色画劇」は様々な題材を扱ったオムニバス短編ですが、掲載当初ヤングジャンプの他の作家さんに「案がもったいない」と忠告をいただきました。
確かに一つ一つを膨らませればもっと面白いお話になったもったいない案の使い方をしていたかもしれませんが、当時新人作家としては自己アピールをすることで精一杯だったんだと思います。
以下、各話簡単にコメントしていきます。
第一話「墓標」
最初のお話なので少々表現が派手めな話をもってきました。きのこ雲の描写を独特なものにしようと試みました。
第二話「背中」
作中にあるとおり、飛び降りた人物の意識は落下する瞬間まであるのではないかと思って描いてみました。
第三話「声」
内容より電話機の古さにビックリです。
第四話「自分嫌い」
心理的な夢の話です。自分ではお気に入りの作品です。夢の中で自分が死ぬイメージは人生の転機やステップアップの意味があると言われています。
第五話「夜歩く」
同名タイトルはジョン・ディクスン・カー(カー作品の原題はIt Walks by Night)や横溝正史の作品があります。いつか使ってみたい魅力的なタイトルだったので、そこから発想して描き上げました。ちょうどハレー彗星出現の年だったんですね。
以上は1986年ヤングジャンプ増刊号に掲載されました。
次回はいよいよリアリティー回想記の最終回、「仮面」です。
土色画劇ですね。私は「墓標」と「夜歩く」が印象深くお気に入りです。
「墓標」のその名の通り菌類のようなきのこ雲。墓標に名を刻む不気味な者たち。丁度いまK国のミサイル発射が問題となっているので少し現実味を帯びてるような・・・。名を刻まれないよう祈るのみです。
「夜歩く」ハレーすい星、懐かしいですね。死霊の集合体のようなあの怪異お気に入りです。今ではイベント化していますが昔の人たちにとってハレーすい星は不吉な存在だったのでしょうか。
できれば話をすこし長くして短編~中編の読み切り作品という形で堪能したかったです。
それではまた。
いつも丁寧なコメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。