最初にあったのは、環境問題を取り上げてみようという事でした。
当時1980年代後半、しきりに報道されていたのは、温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)による地球温暖化、酸性雨、魚などに含まれるダイオキシン、オゾンホールの拡大に伴うフロン等の規制などでした。
例えば酸性雨などは、硫黄や窒素酸化物が大気中の水や酸素、紫外線と反応して強酸性の物質に変化し雨となって樹木や土壌にダメージを与えるというものですが、一つ一つを扱うより、包括的かつ象徴的に環境全体の危機として描けないものかと模索するうちに、子供のころ夢中になった特撮番組の1エピソードが頭の中に浮かびました。
それが「ウルトラQ」の第11話「バルンガ」です。
「ウルトラQ」は1966年に放送された、「ウルトラマン」へと続く空想特撮シリーズの最初の作品で「バルンガ」は、私のお気に入りのエピソードの一つでした。
土星探査の有人宇宙船が、帰還途中燃料トラブルで海に墜落、原因は船体に付着していた宇宙胞子で、これがバルンガです。
バルンガはあらゆる燃料(エネルギー)を吸収し、風船のように無限に膨らんでいきます。
東京上空に浮かぶ巨大な生物的風船。とてつもなく象徴的な画でした。
現代の人間の営みの中から吐き出された様々な化学物質が変化を遂げ、結合し、ひとかたまりとなって中空を漂うイメージが生まれました。
タイトルは「塊(かたまり)」とし、トビラ絵は高層ビルにぶつかり取り付いた謎の雲との全体像が、きのこ雲を想起させるように描きました。
ストーリーは登場人物や設備の設定が些かアバウトではありましたが何とかまとめあげ、完成させました。
蛇足ですが、思い出したことがもう一つ。私のデビュー作「歪み(ひずみ)の構図」(週刊ヤングジャンプ掲載)には、「ウルトラQ」第25話「悪魔ッ子」を連想させるシーンがあります。機会があればご覧いただくこともあるかと・・・。
次回は「高野聖」です。
N太郎です。こんにちは。
「塊」ですね。読み返してみると地球の自然、環境や公害など大きなテーマが
あったのですね。不気味な「塊」の存在や溶けた人間のシーンなど印象的ですがラスト近く
の刑事さんと救急隊員の会話が深くていい話をしているんですね。好きな作品です。
ウルトラQ、バルンガの話は見た記憶ないですが怪獣図鑑などで以前から知ってはいました。
数年前にやっていたネオウルトラQというのにも工場の煙突にへばりつく似たような怪物が出てい
ました。不定形の怪物が出てくる作品が好きですね。
後はスティーブン・キングの短編「浮き台」。湖で筏に乗った学生たちを襲う油膜みたいな
原形質の怪物。オムニバス映画の一遍として映像化もされていてそちらも面白かったです。
半透明な怪物に溶かされながら引きずり込まれる学生たち。少しグロですが好きなシーンです。
「塊」、バルンガ、「浮き台」の怪物。本当にいたら生物学的に楽しそうで観察してみたいです
ね。餌(人とか)与えてみたり。いや、やはりまずいでしょう、こういうのいたら。などしょうもない
空想をするのも楽しいです。
それではまた更新を楽しみにしています。
コメントありがとうございます。
「ウルトラQ」についてもっと語ってみたくなったので、後ほど書いてみようと思います。