「学校」は、広大な敷地、多様な設備、授業中と休み時間、放課後の雑然、春夏秋冬と昼と夜など、様々な顔を持つ時空間です。
1987年当時買い求めた松谷みよ子先生の「現代民話考 第二期Ⅱ 学校 笑いと怪談・子供たちの銃後・学童疎開・学徒動員」(立風書房刊)は大変興味深い著作で、「学校」と「怪談」を考える入り口となりました。
一つ一つの「怪談」の事象は、掴みどころが無く他愛のない様な話ではありますが、「学校」という場所がその存在を意味ありげに見せていく「装置」となっているように感じ、そのからくりを描けたらと創作を始めました。
タイトルは地味だと思いながらも、シンプルに「学校の怪談」としました。
完成した作品は、ページ数の不足と自身の力不足から、せいぜいが問題提起までで、本質に迫れなかった事が心残りです。
1990年代に入り「学校の怪談」の一大ブームが訪れます。
多数の著作物、映画、ドラマ、アニメやゲームと誰もが今も認知するところのメジャータイトルとなりました。
その時感じたことは「トイレの花子さん」を代表とするようなキャラクター化の展開です。「人体模型」「テケテケ」や「二宮金次郎像」・・・
一つ一つの怪異がそれぞれのキャラクターを生み出し、ブームの立役者となっていったように思います。
自分が描こうとした本質的なものからは遠い気がしましたが、「花子さん」がちびまる子ちゃんみたいなおかっぱの女の子だったんだ・・と感心したりもしました。
次回は「わたしたちの町」。ダリオ・アルジェント監督について書いてみたいと思います。