第四夜〇遠足 ヒトデナシのいる風景 その百八十八
百二十一人の中(うち)の‥ 百十七人だって!!?‥‥‥‥
問い質した答えとしてヤツが口にした百十七という数字に、ぼくは驚愕(きょうがく)を通り越して、只々(ただただ)時が止まったみたいに硬く凍りついてしまった。
「 そこまで驚くことは無いだろう。当然の成り行きさ‥ 」 やつは冷たく言い放った。 「 それに『オレのヒトデナシ』が手を下した四人にしたって‥、この廃墟まで運んで腹を裂き、その後 外壁(そとかべ)に吊るしたのは『おまえのヒトデナシ』なんだからな。つまり、今 外壁に並んでいる百二十一人の死体は全部、『おまえのヒトデナシ』が吊るしたものだぜ! 」
最後通告の様な、そんなヤツの言葉だった。ぼくの全身の毛穴から、冷や汗が一気に噴き出した。
「 おまえは『おまえのヒトデナシ』に汚い仕事を全部押しつけて、そうやって何も知らなかったみたいに驚いてられるが‥‥、この仕事の徹底ぶりを振り返ってみると‥、『おまえのヒトデナシ』にとって‥つまりは忘れているおまえ自身にとってもこの仕事は‥‥、他の何よりも優先させるべき 最重要事項 だったのかも知れないな‥‥‥‥ 」
「 なッ! 何をバカなことを言ってるんだ!? 」 咄嗟(とっさ)にぼくの口から、反論が飛び出していた。ヤツの意味不明の物言いに、だんだん腹が立って来たのだ。
「 あんな!切り裂かれた腹から飛び出した内臓を『大きな赤い花』に見立てて! そんな死体を廃墟の外壁ぐるりに百二十一体も吊るして見せて! それがどうして最優先の!最重要事項だって言うんだ?! 」
しかし、ぼくの反論に対して、ヤツは淡々と冷静に こう反論した。
「 ふん‥ 巨大迷路廃墟の外壁への『大きな赤い花』の飾(かざ)りつけは、あくまで副次的(ふくじてき)なものに過ぎない。大勢の人々の腹を裂いて内臓を引き出した行為には、まったく別の目的があったんだ。その目的はおまえが一番よく知っている‥‥ はずなんだがなあ‥‥‥‥ 」
次回へ続く