第四夜〇遠足 ヒトデナシのいる風景 番外編 キャラクターブック(2)
今回は、遠足に参加している生徒以外のキャラクターと、作中に綴られている諸々(もろもろ)の名称 事象について解説していきます。
〇登場人物
葉子先生 遠足を引率するクラスの担任である女性教師。絶えず子供達の動向に目を配っていて、誰かがケガをした時などは手際よく処置できる。実直で模範的な先生である。
風太郎先生 遠足を引率するクラスの副担任である男性教師。若く、教師になったばかりで、風貌(ふうぼう)だけではなく時にその言動も、まだまだ大学生の域を出ていないのかも知れない。虫に詳しく昆虫採集を趣味にしていることと、声を掛けられる気安さのせいもあって、男子生徒には絶大な人気がある。
教頭先生 遠足を引率するベテランの男性教師。話好きであり、地域の歴史にも詳しい。管理職ゆえの常識的な判断を絶えず求められていて、何かのアクシデントが起こって遠足を続行するか否かが問われた時など、彼が責任を負って決定を下す立場にある。
水崎先生 自家用車で現地に先乗りして同行する予定だった女性の養護教諭。子供の扱いが上手く、生徒達から人気がある。モリオも彼女のファンの一人であるらしい。
一行が現地に到着した当初から行方知れずで、引率してきた教師たちを戸惑わせる。彼女の車は現地の駐車場に残されていて、後に着メロの音をきっかけとして駐車場近辺の茂みの中から、彼女の携帯電話も発見される。
ソラ たびたびヒカリの語りの中に登場してくる謎の人物。これまでの情報では少女(もしくは幼女)であり、『葬儀の回想』があったことから、すでに亡くなっているらしい。ヒカリ本人との関係は今のところまだ不明である。因みに、大人になった高木セナがその葬儀に参列している描写があった。
ヒトデナシ ?
〇作中登場の名称・事象
ハルサキ山 遠足の目的地。かつてのフィールドアスレチック施設の一部を整備し直した『芝生広場』があり、広場を含めた付近一帯をそう呼称しているが、『山』と呼ぶほどの標高はないらしい。クラスに配られたメールやプリントによると、トイレや水道が備えられていて『安心して自然とふれあえるところ』との説明書きがあった様だ。
巨大迷路 すでに閉鎖されたフィールドアスレチック施設の目玉だった人気建造物。まだ未確認ではあるが、施設全体が閉鎖された後も取り壊されずに、廃墟となって残っている可能性がある。ヒカリが林の中から目撃した『赤い花』が咲いていた場所である『こんもりした緑の小山』が、もしかしたらそれなのかも知れない。
モリオの父は子供の頃、営業当時のこの迷路を体験していて、タイムアタックで不名誉な記録を残している。ヒカリも、迷路の全体像やディテールをなぜか具体的にイメージできて、その佇(たたず)まいをまるで『木の砦(とりで)』であると称している。
朧月夜(おぼろづきよ) 作中、途中休憩で立ち寄った菜の花畑で、合唱部の生徒達に歌われた唱歌。モリオが、『菜の花畑のうた』と勘違いしていた。
野ばら 作中、水崎先生の携帯電話の着メロとして奏でられ、それに合わせてツジウラ ソノが歌唱した印象的な歌曲。ゲーテの詩に名立たる作曲家が曲をつけたもので、日本では近藤朔風の『野中のばら』の訳詞で歌われるシューベルトとヴェルナー作曲の二作品が良く知られている。
因みにツジウラ ソノが歌ったのは『シューベルト作曲の 2/4拍子の軽快な印象のヴァージョン』の方である。
擬態 生き物が、自衛や捕食などの様々な目的の為に、体の色や形を他の生き物の姿や様子に似せること。作中では『人の手に見える虫』について生徒から質問を受けた風太郎先生が、疑問符付きではあるが取りあえず『擬態』として説明している。
次回から、『遠足』再開です。