目を凝らさなければ見えないものがある (3)

私は、幽霊の登場する漫画を何作か描いてきました。
それで感じたのは、『幽霊を描く事』は基本的に『人間を描く事』で、つまり人間の感情や思念、もっと言えば業(ごう)みたいなものを掘り下げて描く事なのだと知りました。これは至極(しごく)当たり前の経緯(いきさつ)で、かつて人間だったものが死んで幽霊になり、死んでからも人間や人間の社会と何らかの関わりを続けていくと言う意味合いのお話になるからです。

だったら、広義の意味での『霊』を扱うとどうなるかと言うと、また違う様相(ようそう)を呈するお話になっていきます。
アニミズム、つまり人間が太古から抱いてきた、この世の万物(生物以外も含めた全てのもの)に霊や魂(たましい)が宿っていると言う考え方があって、その考え方の中で人間は、様々な物や現象に対して、時には畏怖(いふ)の念を覚え、時には敬意や信仰心を芽生えさせてきました。
人が目の前に、人間ではない、人間の理屈が通用しそうにない、或いはまったく通用しない未知なるものの存在を認め恐れおののくお話は、人間を破壊し、人間の社会を根こそぎ崩壊させるカタルシス的効果を生み出す可能性を秘めています。

悪夢十夜で次に題材にするつもりでいるのは、『人(ひと)ではないもの』です。
そいつは、生き物かもしれないし、生き物でないかも知れません。単純な物であるかも知れないし、ものすごく複雑かも知れません。行動原理が明確かも知れないし、そうでないかも知れません。そもそも、そいつは目に見えるのか、目には見えないのかもはっきりしません。
ただ、一つだけ言えるのは‥‥‥、そいつはきっと人間と同じ形をしているのでしょう。

‥だってそれが、いちばん恐ろしいから‥‥‥‥‥‥

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