空想特撮映画「シン・ウルトラマン」初夏の公開が近づいてきました。
今回はそれを期待しつつ、最初の「ウルトラマン」を取り上げてみたいと思います。
科学特捜隊のハヤタ隊員がベーターカプセルを手に、今まさにウルトラマンに変身しようとしています。
因みにこの科特隊の制服ですが、「機動警察パトレイバー」の特車二課の制服が明らかにこれを意識したものに見えます。そう言えばOVAのエピソードの一つに、「ウルトラマン」の最終回のパロディーらしきものがあって、ゼットンを彷彿とさせる怪獣「グリフォン」が科特隊だかウルトラ警備隊だかの混在したイメージの基地を急襲し、それを迎え撃ったのがイングラムならぬ「イングラマン」でした。
眩いフラッシュビームを放ち登場したのは銀色の巨人、我らがウルトラマンです。
特殊な擬音が流れる中、片手を突き上げて伸びあがる様に出現するイメージのカットはみなさんもご存知でしょうが、その映像のウルトラマンの胸にはカラータイマーがありません。これは、当初のデザインコンセプトにはカラータイマーは存在していなかったそうで、映画「シン・ウルトラマン」のウルトラマンの胸にもカラータイマーは見当たりません。さらに後頭部から背中、腰へと続くヒレ状の突起(おそらくスーツ脱着時のファスナーを隠す為のもの)もすっきりと消えています。
これは「Aタイプ」と言われる初期のスーツ。だいたいは一番変化がうかがえる「マスク」部分の区別の為に、「Aタイプ」「Bタイプ」「Cタイプ」などと呼ばれています。
こちらは、素材の進化等でデコボコが無くなり、美しいマスクとなった「Bタイプ」のウルトラマン。当初「口を動かす」事を想定して作られていた「Aタイプ」の特徴の口のスリットが消えています。きりりとした口元の、凛々しい、私が一番好きなウルトラマンです。細かいところですが、つま先が反る様に少し尖っているのも特徴の一つです。
ラストは。横に広がって幽かな笑みをたたえた感じのする口元の「Cタイプ」です。ウルトラマンと言えばこれ、と多くの人が認めるのがこのマスクのはずです。美しい、言わば完成形です。
特別参加の雄姿は、「帰ってきたウルトラマン」です。最初の「ウルトラマン」終了から四年後にテレビに帰って来たウルトラマンですが、このマスクは前述の「Cタイプ」のマスクを型取りして作られたものだと聞いています。
続いては、ウルトラマンが戦う怪獣についてです。
写真は透明怪獣「ネロンガ」の前に立ちはだかる我らがウルトラマン。この「ネロンガ」とウラン怪獣「ガボラ」が、まだ詳細は不明ですが、まったく新たな姿となって(短い映像ながら見る事ができた姿は、「エヴァンゲリオン」の使徒っぽいとの声が上がっています。私は「ウルトラマンエース」に出てきた超獣「バキシム」なんかを連想してしまいました)、映画「シン・ウルトラマン」に登場する様です。
上の二枚の写真、一枚目がネロンガで二枚目がガボラですが、二匹が選ばれたのは偶然か意図的か、元々が同じ怪獣の着ぐるみを改造して生み出された怪獣なのです。
東宝映画「フランケンシュタイン対地底怪獣」に登場した「バラゴン」は、極めて地底怪獣らしい地底怪獣で、この着ぐるみはまず、「ウルトラQ」第18話「虹の卵」のウランを好物とする地底怪獣「パゴス」に改造され、その後「ウルトラマン」で、「ネロンガ」、「ガボラ」、「マグラー」へと次々と改造、変遷して行きます。
因みにパゴスとガボラは、ウランを求めて出現すると言う似かよった設定ですが、当初はガボラではなくパゴスを「ウルトラマン」に再登場させる予定だったらしいです。
最後に、この長身で細身のウルトラマンを演じていたスーツアクターの古谷敏氏について記しておきます。
古谷氏と言えば、「ウルトラセブン」のウルトラ警備隊の一人であるアマギ隊員としても有名ですが、「ウルトラQ」の頃からスーツアクターとして活躍しておられました。体型を見れば納得ですが、「ケムール人」と海底原人「ラゴン」は彼が中身だった様です。
私達の世代は、最初に出会ってしまったウルトラマンがこのモデルみたいな体型ですから、そのイメージはなかなか払拭しがたく、漏れ聞こえてくる映画「シン・ウルトラマン」のすらりとしたウルトラマンの体型を知って、新しくも正直どこか懐かしく、じんわりと嬉しかったです。
「シン・ウルトラマン」、楽しみに待ちたいと思います。