ぼくらのウルトラ冒険少年画報 (64)

最終話「夕暮れ」 編集後記
夕暮れ時、黄昏時をさす表現に、「逢魔が時(おうまがとき)」という言葉があります。
日が落ち夜が始まろうとする、魑魅魍魎などの魔物が蠢き出す時刻、そういうものにばったり出くわしてしまうかも知れない時刻という意味なのでしょう。
ちなみに黄昏時の「黄昏」も「誰彼」という表記が存在し、「誰そ、彼」「彼は誰だろう?」と、人の判別がつきにくくなる薄暗い時間帯とその不安を上手くいい当てています。

前回まで三回にわたり「缶蹴り」をお送りしてきたわけですが、最終話「夕暮れ」を締めくくるお話として、この「逢魔が時」を描いて見ようと思い立ったわけです。
作中A君は、未だ何物かと缶蹴りを続けています。闇に包まれた講堂の止まったままだった時計が、この世とは違う時を刻み始めました。
いつもの様に「書いて出しの初稿」で、描ききれていない感もありますが、宜しかったらご感想などお聞かせ下さい。

「ぼくらのウルトラ冒険少年画報」はとりあえずこれで完結です。
少しずつ、様々な現実との折り合いをつけていく少年期の、その「夕暮れ」に至るまでを書いてきたつもりです。
日が暮れ、夜が来て、つぎの朝を迎える時には、少年はもはや少年ではいられなくなっていた・・・いささか悲しい夜明けが幾度かあって、人を少しずつ成長させていくのでしょう。
かと言って、少年のこころを全て失ってきたわけではありません。その欠片ですが、今も確かに残っているのを感じて生きています。

もし何か面白いことが見つかりましたら、「ぼくらのウルトラ冒険少年画報」番外編として、お目にかかりたいと思います。
長い間のお付き合い、ありがとうございました。