クライヴ・バーカー原作の仕事(3)

クライヴ・バーカー原作の三作目となる仕事は、1988年3月映画「ヘル・レイザー」日本公開にあわせ出版された原作本「魔道士」(集英社刊)を漫画化する事でした。
掲載される雑誌は、週刊ヤングジャンプから独立した「月刊ベアーズクラブ」の創刊号。
新書サイズのハードカバー本「魔道士」と数枚のスチール写真、宣材用のリーフレットを手渡され、配給会社の試写室で一人公開前の「ヘル・レイザー」を観ました。

映画「ヘル・レイザー」はクライヴ・バーカー自身が脚本・監督を手掛けたものでしたが、ストーリー・人物設定等が原作と若干異なります。
漫画は活字と違いビジュアル優先と考え映画に寄り添うような形で描きました。
なぜなら映画のキャラクターの存在感が強烈で、たとえば頭や顔じゅうに釘が刺さった男(ピンヘッド)はぜひ描いてみたいと思わせるものでした。
このキャラクターのインパクトのおかげ?で「ヘル・レイザー」は以降7作もの続編が作られたのだと思います。(2013年日本公開、ホラー映画のパロディが散りばめられた映画「キャビン」にもこのキャラクターらしき男が登場してます。)

お話は、「ルマルシャンの箱」というパズルボックスの謎を解いてしまった男と、その親族一家を襲う残酷で不可解極まりない出来事といった割りと単純なものですが、魔界の扉が開いた時現れる魔道士たちのビジュアルインパクトはそれを補ってなお余りあるものでした。

興味のある方は映画、原作双方を合わせてご覧になることをお勧めします。
ちなみに原作「魔道士」は、のちに「ヘルバウンド・ハート」に改題され集英社文庫から発売されました。