第四夜〇遠足 ヒトデナシのいる風景 その百六十四
「 ‥おまえは一体‥ 何者なんだ? なぜここにいる? 」 ついついそんな問いが、ぼくの口から飛び出した。
「 ‥神‥ なのか?‥‥ 」
ぼくを見ていた『高木セナの顔』の表情に、はっきりとした侮蔑(ぶべつ)の色が浮かんだ。
「 ‥‥随分と短絡的な物言いをするものだな。さっきまで、おまえはオレを、「ハラサキ山の魔物』と称してくれていたはずだが? 」
確かにヤツの言う通りだった。しかし、ここで黙り込むのも癪(しゃく)だったので、出まかせの反論が、またしてもついつい口をついて出た。
「 ぼくにとっては、『神』も『魔物』も同じ『人知を超えた存在』としての‥同義(どうぎ)なんだ 」
「 ククッ‥ クククク クククㇰㇰ- 」
「 おッ! おい!? 」
突然、ヤツが笑い出したのだ。それも可愛く、小学二年生の幼いセナの声音(こわね)で。
ぼくは、不意打ちを食らったみたいに狼狽(うろた)えてしまった。
「 本当に、都合の良い物言いだこと‥ 」
「 止めないか! セナの声で話すんじゃない! ぼくを揶揄(からか)っているのか!? 」
「 いいやぁ! 揶揄ってなどいないさ! 」 厳しい言葉とともに、声が元に戻った。揶揄っていると言うより、ぼくに少々腹を立てているのが、分った。
「 オレを『神』とか『魔物』呼ばわりするのなら、おまえだってこんな『イカれた世界』を拵(こしら)えちまった張本人(ちょうほんにん)じゃないか! おまえこそが『魔神』の呼び名に相応(ふさわ)しいぜ! 」
次回へ続く