リアリティー回想記 「高野聖」 前編

「高野聖」でまず触れておかなければならないのは、当時近未来として描いた物語が2011年だったという事です。
ご存知の通り2011年3月東日本大震災があり、不幸にも未曾有の津波災害と福島原発事故が発生しました。「高野聖」の内容からこの偶然の符号をTwitterで指摘されていた方が何人かいらっしゃいました。
本人としては、1988年執筆当時、近未来として設定した敦賀の舞台が20数年後だった事は覚えていますが、なぜ2011年にしたのかは自分でもはっきりしません。やはり偶然としかいいようがないのです。

東日本大震災で被災された方々、原発事故で失われた日常が未だ戻ることなく避難を余儀なくされている方々に、この場を借りて深く御見舞い申し上げます。

「高野聖」のオープニング。
「新敦賀」という架空の駅を目指す新幹線車両(おそらく200系)。
原発事故後、地域の復興事業の一つとして莫大な予算をかけ政府が推し進めたであろう整備計画で、すでに北陸新幹線が走っています。

泉鏡花の「高野聖」という小説がなぜ原発事故のテーマとつながり、敦賀とつながったのか・・・
次回、泉鏡花の原作や広瀬隆氏の著作について触れてみたいと思います。

「ウルトラQ」について書いてみたくなりました

「ウルトラQ」は1966年TBS系で放送された空想科学特撮番組です。
日曜日19時から30分の枠は、円谷プロダクション作品では「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」と続きます。

「ウルトラQ」が放送された当時、私は小学校低学年でしたが、円谷英二氏やおとなの人達が本気で作っている感覚がひしひしと伝わってきて、幼い私も本気でそれを受け止めようとテレビにかじりついて観ていました。
そのおかげで発達途上のまだ柔らかかった私の脳に、様々な新しい回路ができあがっていったのも確かです。
漫画を描き始める事になったきっかけの一つでもあります。

現在、ご活躍中のクリエイターの皆様の中にも、子供の頃「ウルトラQ」「ウルトラマン」の洗礼を受けた方が多数いらっしゃると思います。
「岩井俊二のMOVIEラボ」(ETV)に出演された庵野秀明監督も「未だウルトラマンの呪縛から逃れられないでいる。」と語られていましたが、よくわかります。
簡単に言ってしまえばその時代を生きて出会っただけのことですが、それこそが深い意味を秘めているように思います。

最後に、ご存知のない方に・・・「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」はまったく別世界の話で連続性はありません。(私的にはウルトラマンを最初に見た時は得体が知れず不気味で怖かったです。) 「怪奇大作戦」は多くの子供たちに数々のトラウマを植え付けた題材を選ばない純度の高いホラー作品です。