我為すことことごとくこれ蛇足也 其の七

ゴールデンウイークの一日

映画『真珠の耳飾りの少女』のことを考えていました。
若きスカーレット・ヨハンソン演じる娘が、フェルメール一家の暮らす家に使用人として雇われ、すったもんだあってから、彼女がフェルメールの代表作の一枚である『真珠の耳飾りの少女』のモデルを務める事になるというお話でした。
「‥確か、クリムト‥が登場する映画もあったっけ‥‥‥」 発想がそんな風に跳びました。
映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』がそうでした。主人公の老婦人が、彼女の叔母であるアデーレをモデルにクリムトによって描かれた名画『黄金のアデーレ』を、駆け出し弁護士の協力を得てオーストリア政府相手に訴訟を起こし、見事に取り戻すお話でした。
黄金週間(ゴールデンウイーク)にクリムトは相応(ふさわ)しいなどと、訳の分からない考えに取りつかれた私は、クリムトの画集を引っ張り出しました。
お目当ての『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像』を探してパラパラとページをめくってみると、黄金ではなくて、白い絵が目に留まりました。それは、クリムトの姪にあたる少女ヘレーネを描いた『ヘレーネ・クリムトの肖像』でした。私は、白の中に浮かぶその横顔が好きでした。

私は‥その絵をしばらく眺めた後(のち)、今度はノートを引っ張り出して、ヘレーネの横顔を模写し始めてしまったのです‥‥‥‥‥
ゴールデンウイークのとある一日は‥そういう一日でした。

蛇足の極(きわ)みですが‥この時期の連休を『ゴールデンウイーク』と名付けたのはどうも映画会社で、宣伝のためだったらしいです。

尚、横顔の模写は後々、ペン入れみたいなことを施(ほどこ)してからお目に掛けたいと思います。