最終話「夕暮れ」 その七
太平洋戦争、終戦、東西冷戦、朝鮮戦争、安保闘争、ベトナム戦争、国際反戦デー、大学紛争、そして三島事件・・・・・・
昭和という時代の真ん中辺りで生まれ、やがて物心がつき、幼年期を経て少年期を終えるまでに私は、日常生活の中や漏れ聞こえてくる社会の情勢から、数限りない不安や恐れ、疑問を抱き、心の内に溜め込んでいました。
もっともそういう事が、人として成長していく上での糧となっていたのだろうとは思いますが、知識と理解力の範ちゅうを超える社会の出来事などは、「安心」を手に入れて忘れ去るわけにもいかず、結果その後の生活に何らかの影響を及ぼしていきます。
「何が解らず、何を知りたいのか」がまだ判らなかったのです。少しでも取っ掛かりのようなものを見つけようとしていたのでしょう、興味の対象が事あるごとに刻々変化していった気がします。
大人が交わしている会話に、聞き耳を立てる事も多くなりました。
プラモデルは、荒唐無稽なものより、よりリアルなキットを求めるようになって、付属の解説書を何度も読み返しました。
やっていた事はおおよそ、情報収集。
データを出来るだけ貯め込んで、成長にともなう「情報処理能力の高度化」を待っている・・・・・・。
しかし、「高度化」はそう容易くなく、中学生、高校生になっても、頭の中は混沌とした状態のままでした。
ただ、何を知りたかったのかが分かってきていました。
理解したくて、興味もあって、いろんな本を読むようになりました。
それが最善のアプローチの方法でした。
戦争はなぜ起きるのか?
「安保闘争」や「大学紛争」とは何だったのか?
そもそも「安保」とは何ぞや?
「三島由紀夫」とは、どういう人物だったのか?・・・・・・・
次回へ続く